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アジアのリーダーは日本 ―TPPは輸出拡大によるアメリカの雇用確保なのか

前提を疑う

私達のTPPへの関心を高めたのは多くが中野さんのTPP亡国論(集英社新書)だろう。著者はグローバル・インバランスに言及し、2000年以降アメリカの過剰消費が世界経済の成長を牽引していたが、リーマンショック以降アメリカはグローバル・インバランスの是正が喫緊の課題となったとする。
ノーマ・ジーン・ベイカー

そしてオバマ大統領の2010年の一般教書演説での「5年で輸出を倍増する計画発表」と、国家経済会議のサマーズ委員長の「アメリカの消費者は世界経済の成長の唯一のエンジンにはなれない」という発言を引用し、アメリカの「国家輸出戦略」を以下のようだと診たてた。
要するに、アメリカの輸出倍増戦略には、アメリカ以外の国々との間で互恵的な目的(グローバル・インバランスの是正)と、利己的な目的(輸出拡大による国内の雇用の確保)という、2つの側面があるということなのです」―中略―「TPPは、このアメリカの基本戦略である輸出倍増戦略の中に位置づけられているのです。
とTPPのアメリカ側の企図を輸出拡大による国内の雇用の確保だとした。

リカードの比較優位によれば関税を撤廃した2国間の―または多国間―自由貿易は両国―多国―においてWin‐Winの関係を構築できるのである。関係国が得意分野に特化した場合、全体で生産量が上がり、同時に両国への直接投資が伸長するということだ。GATT、WTOを推進する根拠は比較優位にある。

中野さんは「輸出拡大による国内の雇用確保」がアメリカ側の企図の一つの側面だとしたが、TPPによって比較優位が実現すればアメリカの雇用は逆に関係国に奪われることにならないか。比較優位は関係国の直接投資を伸長させると説明したが、アメリカはTPPで多国籍企業とその投資家に保護を与え、海外投資をすすめ自国の産業の空洞化を進展させ、よって多国籍企業の競争力を強化する戦略に出ているのはないかという結論に私は達した。

企図を察知しそれを実現させないことが戦略の基本
私の当初から、「相手企図の見極め」を目的としている。であるから私は「交渉参加後公式オフォーを元に判断すべし」と主張してきた。韓国が批准した米韓FTAの内容が、おそらくTPPでも遡上に上がると想定さるので、その中にアメリカの企図があると想定されるが、その核心は巷間で云われている「毒素条項」であろう。

「TPPは実質日米のFTAだ」と云う議論があるが、であれば米韓FTAをみても2国間交渉のほうが多国間交渉よりもアメリカには有利ではないだろうか。特に普天間問題を抱える現在の日米間では日本側が譲歩を要求される可能性が高い。

同時に「アメリカの日本市場に対する更なる市場開放要求だ」と云う議論も、すでにかなり市場開放され、一部の分野を除いて概ね低関税である日本市場はそれほど日本側の世論を無視して開放要求するほどアメリカの利益はない。もし日本市場が魅力的であれば両国でFTA交渉をする方がよりアメリカには有利だと説明した。

ウルグアイ・ラウンドやその他の自由貿易に関わる交渉で食品に関する日本側の世論の反対と官僚の抵抗を経験しているアメリカは、日本と2国間でも多国間でも締結することの困難さを知っている。であるからTPPが日本市場が狙いという議論は2次的にはそうかもしれないが主目的ではないと考えたほうが妥当ではないか。

ドラッカーの申し子、スティーブ・ジョブスモデル

60年代、70年代、アメリカの経営者に多大な影響を及ぼしたピーター・ドラッカーは企業の社会性と知識社会の出現に言及した。先進工業国は比較優位に基づき知的業務に特化すべきであると提言した。

アップルは本国に開発部門を残し製造は中国に移してしまっている。つまり利益は投資家へ還元されるが雇用は中国で生まれる。アップルをアメリカと置き換えれば、TPPにより締結国へはアメリカの投資が向かうことになる。ISDSによって投資家は投資先国の革命など政治状況による不利益から保護される。

しかしそれはアメリカのGDPには貢献するが雇用にはほとんど貢献しない。むしろ空洞化によりアメリカの低所得者層の雇用はTPP締結国へ移動することになる。TPPはアメリカのほとんどの国民にとっても利益ならないという三橋さんの議論は正しい。つまりアメリカは多くの自国民を犠牲にして多国籍企業の競争力を維持する戦略だ。

日本の製造業はアップルと同様にTPPによるメリットは大きい。特に円高の現在(2011.11.25現在1ドル77円)、日本企業の海外投資メリットはアメリカ企業より大きいと云える。よってTPPによって利益を享受できるのは参加国でアメリカ企業と日本企業だけなのではないか。

やはり中国との関係

あるアメリカの経営者は自社の工場労働者に言及して読み書きと四則演算の教育が課題と述べたという。アップルに代表されるアメリカのグローバル企業の多くは中国、インドに製造部門を移転している。それは安価な労働市場の確保といえるが、一方優良な労働者の確保でもある。アメリカの自動車産業が衰退した原因は労働者の質にあったという。

来年、2012年1月台湾では総統選挙が行われる。同年中国も指導者が交代する。また中国のバブルが崩壊するという予測もすでに予測の域を超え現実になりつつある。アメリカの国防総省、安全保障コミニティからは中国警戒のメッセージが頻繁に発信されるようになった。アメリカは膨張する中国へのデタントを諦め、攻囲戦にはいったと云えないか。そしてアメリカ企業の移転先としてアジア各国と投資協定を結ぼうとしているのではないか。

アメリカは自国のブルーカラーを見限り中国へ進出した。その互恵的関係は両国国内の格差を広げることになったが、経済は両国とも活況を呈した。ようするに資本主義は原理的に国際分業を必要とし、そのため、資本家にとっては投資国に対し資本主義的所有権の合意と強制が必要となる。アメリカのTPPに対するコミットはここに帰結するのではないか。

日本以外のTPP参加表明国の投資能力はアメリカと対抗できない。グラフを見ても日米の経済力は多国を圧倒している。何が起きるかというと、少し過激な言葉を使えばアジア各国はアメリカの経済植民地化してしまうということだ。韓国は中国の併呑を拒否してアメリカにその保護を求めたが、TPP締結国はアメリカ企業の下請工場になるであろう。しかし膨張する中国に対抗するため、同様な動きがアジア各国にも始まったとは云えないだろうか。

やはり日本がリーダーとなるべき

もしTPPへ日本が参加をしない場合、投資先国とISDS締結なしの投資リスクはアジア各国においてはまだまだ高いので、日本企業は海外投資を諦め、日本国内への投資を強化するであろう。アメリカ企業はISDSによってリスクをヘッジしているので積極的な投資を行い、アップルのような他国籍企業は世界市場を席巻することになるだろう。

国際分業を実現した企業の製品、サービスは日本企業の市場を奪取することはアップル、サムスンの事例でも明らかだ。アジア各国はアメリカの投資によって雇用は増え、経済発展するであろうが、それは単なるアメリカの下請工場に過ぎない。

日本はTPPの枠内でアメリカと競うべきだ。日本にとってはハイリスクだが、アジア各国にとっては救いになるではないだろうか。アジア各国のTPP参加の思惑は中国の強権的ネポティズム資本主義をアジア各国は拒否して、資本主義的所有権に厳しいアメリカの企業支配になる選択だということではないだろうか。

日本はそこに割って入って資本主義のルールに基づいた日本的なやり方で関係国と互恵関係を築き、アジアへの経済的プレゼンスを高めるべきだ。そしてその時に必要な精神は日本の国家ビジョンである八紘為宇であり、日本人が東日本大震災で世界に示した和と徳の精神である。世界は科学万能文明時代から精神科学文明時代へとシフトしつつある、その魁に日本がなる必要がある。

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日韓併合 百年目の真実 李完用が救った大韓帝国

本年2010年8月29日は法律上の専制君主大韓帝国皇帝純宗が勅諭を発表して日本と韓国が合併したことを内外に示してから100年目にあたる。


韓国皇帝の勅諭 皇帝、若(ここ)に曰く、朕否徳にして艱大なる業を承け、臨御以後今日に至るまで、維新政令に関し承図し備試し、未だ曽て至らずと雖も、由来積弱痼を成し、疲弊極処に至り、時日間に挽回の施措望み無し。中夜憂慮善後の策茫然たり。此に任し支離益甚だしければ、終局に収拾し能わざるに底(いた)らん。寧ろ大任を人に託し完全なる方法と革新なる功効を奏せいむるに如かず。

故に朕是に於いて瞿然として内に省み廊然として、自ら断じ、茲に韓国の統治権を従前より親信依り仰したる、隣国日本皇帝陛下に譲与し、外東洋の平和を強固ならしめ、内八域の民生を保全ならしめんとす。惟爾大小臣民は、国勢と時宜を深察し、煩擾するなく各其業に安じ、日本帝国の文明の新政に服従し、幸福を共受せよ。

朕が今日の此の挙は、爾有衆を忘れたるにあらず、専ら爾有衆を救い活かせんとする至意に出づ。爾臣民は朕の此の意を克く体せよ。

隆煕四年八月二十九日 御璽

日韓併合100年目を前に韓国の反日派からの様々な動きがあるのでまとめてみたい。

2010年5月11日のこのようなニュースを目にした。

日韓知識人が共同宣言「日韓併合は当初から無効だった」
看過できないのは多くの日本人学者が関わっているという点 …今回の声明には発起人である和田春樹東京大学名誉教授をはじめ、日韓歴史共同研究委員会の日本側の座長を務めた三谷太一郎東京大学名誉教授など105人が声明に署名している。一方、韓国ではイ・テジンソウル大学明楊教授やカン・マンギル高麗大学名誉教授、詩人の高銀氏や金芝河氏のほか、幅広い層から109人が声明に署名した。… …声明では、「併合は大韓帝国の抗議を軍事力で押さえつけたもので、韓国側が国権の譲与を申し出たとする内容も虚偽(きょぎ)である」と指摘し、日本政府が日韓併合条約について「無効」であることを認め、8月の総理談話に関連内容を盛り込むように、積極的に働き掛けるとしている。… 2010年07月18日には、

日韓併合100年で日本が韓国へ謝罪、中国も大きな注目

8月29日に日韓併合100年を迎えるにあたり、日本政府は韓国に過去の植民地統治を謝罪する方針を明らかにした。17日、環球時報は「日本は韓国側…

翻訳者からのメッセージ

国家と国民 民族が国民となるためには国家を確立しなければならないのが国際的なルールだ。主権国としての権利が付与されるには統治機構(以後政府)がなければならない。政府によって領土(領海、領空)と被統治民族(国民)が認定されるわけだ。現在ではその政府が民主的な手続きで選ばれるのが(普通選挙)望ましいが、それは民族が決めること(民族自決。民族が自ら、自由に政府を組織すること、民族自決)ということも国際的なルールだ。国際社会では民主的にせよ、力尽くにせよ領土と民族を実効支配していることが重要なのだ。竹島は力尽くで奪われたのだが、それを民主的なルールで取り返そうとしてもある意味空虚だ。中国は尖閣諸島を民主的に奪いとろうとしているが、最後は武力行使をしてくる可能性は否定出来ない。国家(領土と領民)というのは受動的に与えられる概念ではなく能動的主体的に確立した民族に認められる概念なのだ。

憲法は国民からの命令書 憲法は民族が国民となり暴力を政府に独占させるにあたってやってほしいこと、やってほしくないことをお願いした手紙であり、法という見方をすれば国民から政府対する命令書だ。よってその前文は我々は~命令する(政府に対して)、という文章が望ましい。そのことをふまえて前文を読んでみると、
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由 のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を 確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれ を享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安 全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地 位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民…

国際関係論で論じられる理想主義

リベラリズムほど解釈が多様にある言葉はないと思う。日本語では自由主義と訳される場合が多いのだが、昨今では自由主義とリベラリズムは対立する政治姿勢ともいえる。よって自由主義をリバタリアニズムと呼ぶのが一般的になりつつある。本稿の場合はリベラリズムを社会自由主義的な用法、ようするに国際関係論で論じられる理想主義として論じることにする。

20世紀の戦争 20世紀は戦争の世紀と呼ばれるように産業革命による技術革新が戦争を巨大化、無慈悲化させた。世界は巨大化・無慈悲化する戦争に対して、一定の規則を締結したが、その後に勃発した第一次世界大戦は大規模かつ無慈悲な消耗戦によりヨーロッパ社会に大きな衝撃を残した。

第一次世界大戦の塹壕戦や化学兵器の使用は、ただ敵を消耗させるための戦略で、それまでの戦争とは様相が大きく変化した。戦争は国家が軍に命令して、軍が名誉をかけて行う営みから、国家国民全体で行う営み全体戦争つまり総力戦へと変容した。

パリ不戦条約(戦争抛棄ニ関スル条約)は大戦のような悲惨な戦闘を二度と繰り返さないために交戦国、非交戦国も含めて63カ国が署名した。目的は戦争の違法化、特に侵攻戦争の違法化を目指したが、最終的には侵攻戦争を非難するにとどまった。


貧困が戦争を起こす もし社会が現状で固定されるとしたら、現在比較的幸福な人はいいが、もし不幸な人はどうだろうか。それはその人の希望を奪い去ることになる。国家同士の戦争もある一面では現状に満足できない国家と、それを阻止しようとする国家の営みといえる。

第一次大戦後ヨーロッパの比較的裕福な人々の間で戦争が二度と起こらないように、家族友人の死、あるいは戦争による破産などの不幸をなくすには、どうしたら良いか考えられたのは自然なことだ。そして彼らは結論した。「貧困が戦争を起こす」。

大戦中ロシアでは革命が起こりソ連邦が誕生する。国民(ソ連に国民がいたかは定かでないが)に貧困のない平等な生活を提供する統治体の出現に、ヨーロッパのエシュタブリッシュメントは期待と不安の眼差しを向ける。
リベラリズムの誕生 フランス革命の惨劇を経験しているヨーロッパの裕福な人達は、現状を維持しながら戦争を防止する政治体制の確立を急いだ。そのような背景でリベラリズム理論が誕生することになる。その理論は金持ちはそのまま、貧乏人はもう少しお金持ちにすることだ。

TPPとはなにか ―国際法・条約から考える

フェイスブックのTPPって何?の議論を通じTPPを検証してきたが、ここに来て議論が成熟してきた。JAなどがTPPの「聖域なき関税撤廃で農業はだめになる」という主張はWTO・GATTのウルグアイ・ラウンドで我国が聖域として議論した農産5品目が自由化されるという主張だが、TPPはWTO・GATTの規定内で交渉される自由貿易協定であるから、「聖域なし」は「実質上」と同じ「すべて」ではないという例外を表した言葉だ。

日本国憲法の研究 ―合衆国憲法との比較 第1章

近代憲法は、主権者である国民の意志として、組織される政府に対する命令書なので、前文は、その意志を表現したものがふさわしい。そしてその目的を明確にする必要がある。さらにその目的のために、憲法を制定するわけなので、そういうことを頭に入れたうえで、再び前文を読むと、合衆国憲法は、

われら合衆国の国民は、より完全な連邦を形成し、正義を樹立し、国内の平穏を保障し、共同の防衛に備え、一般の福祉を増進し、われらとわれらの子孫のために自由の恵沢を確保する目的をもって、ここに アメリカ合衆国のためにこの憲法を制定し、確定する。
目的意志がシンプルかつ明確に表現されている。これと比較して、日本国憲法における国民意志もしくは達成したい目的は、

政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。に色濃く現れ、

これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
が次にくる。なぜわざわざ一切の憲法と法令と詔勅と断る必要があるのだろうか。ここにこの憲法を制定した意志があるのではないだろうか。そして最後には、

国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

目的を達成することを、宣言命令するのではなく誓ふ。さらに誓ふ対象も明記されていない。我々日本国民は、誰に対して目標を達成することを誓ふのだろうか。 これに答えを出せる憲法学者や国会議員が、我が国にはどれほどいるのだろうか。国民はそれを疑問とも考えていないのだろか。

第 1 章はその意志を具体化する、そして目的を達成するための第一歩ということだ。最重要なことを最初に申し述べているのである。アメリカ合衆国にとって最重要なことは法の支配、法による秩序であり、日本国では天皇―スメラミコトによる秩序―これをしらすという―であるということだ。大日本国憲法では、

大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス

と統治の根拠となる天皇が過去、現在、未来に渡つて、日本国と日本民族の秩序の源であることを示している。この場合の統治とは伊藤博文が解説するように、しらすであり現実的な権力、うしはくと厳密に分けなければならないのである。

合衆国憲法は合衆国の秩序は法によって護られるゆえ、第 1 章では立法府についての規定が列記される。一方、日本国憲法では天皇についての条項が…

日本は〝心〟という字に見える ─ 日韓永遠の架け橋たらんとした悲劇の知日家・朴鉄柱会長 ─

戦後ソウルに設立した「日本文化研究所 (高千穂商科大学教授) 名越二荒之助 「朴鉄柱大人を偲ぶ」より

恒久的な日韓友好を考えるうえで、避けて通ることのできない人物がおります。それは朴鐵柱という一人の韓国人です。彼は大正十一年(一九二二)、釜山市の東?(トーライ)に生まれ、大東亜戦争下に日本の皇典講究所を卒業。卒業後は釜山の龍頭山神社や、新羅時代から関係の深い下関の住吉神社(長門一宮、元官幣中社)に奉職しました。彼は学生時代から古事記・日本書記を通して、日本の成り立ちと天皇朝の存在に深い関心を寄せ、その尊貴性に目覚めていました。だから彼としては、神社に奉職することに何のためらいもありませんでした。

終戦後は韓国に帰りましたが、李承晩大統領の反日政権下にあって苦汁を嘗めさせられました。日本の学校を出た者は、「民族反逆者裁判条例」にひっかかって追放の憂目を見ました。やがて朝鮮動乱が勃発。その荒波をくぐって生きのび、動乱が終るとソウルに出て、昭和二十九年五月には、「日本文化研究所」(ソウル特別市中区奨忠洞二街一九七)」を設立しました。「社団法人・日本文化研究所」の「内容書」は、韓日両国語によって書かれており、「趣意書」の冒頭は次のような書き出しで始まります。

「日韓両民族は、各自悠久なる伝統と文化を護持してき、上古よりの密接なる文化的相互交流は、両民族の芸術、風俗、道義観にまで相似共通のものを形成してきたのであります。特に一衣帯水の地理的条件は、お互の全歴史を通じて政治的、経済的、協助を不可避にし、文化的、精神的にも緊密にして不可分離なる関係を確立してきたのでありま
す。」

「趣意書」は大局観に立って、悠久の日韓のあり方を踏えたものです。しかしながら両国の間に、文禄・慶長の役のような「互恵扶助の原理に違背したとき」があった。それは「久遠なる歴史に於てひとつの瞬間的な疾患であり、両国の健全な将来と恒久友和のための契機」にしなければならないとして、研究主題を次の三つに置いております。

一、日本上代文化の研究
二、帰化文化の研究
三、日本の信仰、道徳等精神文化の研究

韓国で朴氏が「日本文化研究所」を設立した昭和三十年頃の日本は、敗戦のショックから醒めやらず、自国文化を
否定し、罵倒する言論がまかり通っていました。その頃韓国で、日本の精神伝統と国体研究の運動が起ったことは、文
字…

不要な電波がユビキタス —あなたの私生活は公開されている

このところ政治の話が多かったので、専門の危機管理のお話を少ししたいと思う。皆さんはノートパソコンを使ってますか?それとも自宅のWIFIでスマホを使って、インスタグラムに投稿してますか?これらはすべて私生活の公開の危険をはらんでいることにお気づきですか?

ネットワーク簡単に接続できることは簡単にのぞかれているということ 自宅のペットを監視するや赤ちゃんを監視するためにWEBカメラを購入してスマホで見ている、という人は結構多いのででないだろうか。実は「簡単に」接続できることは、容易にのぞかれることだ。また、自宅用の防犯用監視カメラはDDos攻撃の道具として使用されていることもある。これらは簡単で安価に使用できるというメリットは、逆にリスクになるということを理解しなければいけない。

私がある地方都市に出張して、古いホテルに宿泊したとき、部屋で仕事をするために無線LANに接続したところ、いろいろなノードが参照できたことがあった。通常はVLAN等で他のノードを参照できないようにするのだが、予算の関係かあるいは自力で無線化したのか、セキュリティ対策が杜撰だった。



大量のアクセスポイントが大量の電波をだしている 無線LANのサーベイをしていると、付近のマンションなどから多数のアクセスポイントが検知される。今や家庭に一個はアクセスルーターがあるが、その中の半数はアクセスキーが設定されていないものがある。おそらくセットアップ時に設定を飛ばすか、しないかだろうが危険だ。

簡単に設定できるうえ、再セットアップが簡単なのでそのようにしているか、若しくは全く意識しないでしているかだが、悪意の三者に利用される危険がある。安易な電波が不足しがちな無線環境をさらに悪化させている。
写真には位置情報が付加されている フェイスブックやインスタグラムに写真を投稿しているが、アップロード場所の位置情報を付加している人がいる。自宅で自撮り写真や子供の写真をアップロードしている人も位置情報が付加されているのを散見する。

フェイスブックやインスタグラムアプリの位置情報機能をオフしても写真自体に位置情報が付加されていることには気づいていないようだ。ほとんどのスマホ撮影の写真に位置情報が付加されてる。僕はフェイスブックの友達の女性が自宅で自撮り写真をアップロードしているときはそれを確認して連絡をしてあげている。…

小和田恒悪玉論を問う ―衆 - 外務委員会 - 1号 昭和60年11月08日 その2

引き続き、村田春樹さんが國民新聞に書いた記事「小和田恒悪玉論を問う」への激励投稿を続けたいと思う。さて国会会議議事検索システムで昭和60年11月8日衆議院外務委員会の土井たか子委員の質問に対する答弁を検証しよう。

日本国憲法の研究 ―合衆国憲法との比較 前文

これから日本国の新憲法草案を提案しよう。どうしてそう思ったかは単純だ、今の日本国憲法は近代憲法の要件を満たしていないと思われるからだ。近代における国家は主権者である国民の国家形成への強い意志によって成り立っているとする。―するとしたのはもっと奥深い部分では違うと考えているが、近代に対応するためにそう仮定することにしよう。

近代思想において国家は、たとえ国民がひとりでも、国民意志があれば形成することができるとされる。しかしそれは利己的な個人意志ではない。五箇条の御誓文で公論と示された、意志を国民主権では民意というのであって、それがなければ近代国家は存在しないのである。さらにその意志は個々人の中にある不条理で熱い志であり、それを顕現しあるいは不当な隷属の強要から擁護されなければならないと考えている。

そして近代における憲法はその国家を統治する権力を制限するために制定するものであり、国民から政治権力への手紙であり、もっと強く表現すれば命令書として機能するのもである。よって国民が必ずしも従うべきものではないという性質のものである。
統治体というのは国際的には近代国民国家が国際関係を維持するため、またはその関係が破綻した場合に起きる紛争を解決したり、戦争を遂行し条約を締結するための代表府である。同時に国内においては共同体秩序を維持発展させるために制度や法律を制定する立法府、制定された法律をもとにそれを執行する行政府、そして行政が正しい手続きで行われているかを監視したりあるいは手続きの瑕疵を判断する裁判所などの組織のことである。

しかしこれらの組織は主権者である国民の自由を拘束したり法律を不当に行使したりする可能性があるので主権者は組織に対し、してはいけないことと、積極的にしなければならないことを文書によって命令する、それが憲法の本質なのである。そういう視点をもって世界最初の憲法らしい憲法であるアメリカ合衆国憲法と戦後アメリカの占領下制定された日本国憲法を比較してみよう。


アメリカ合衆国憲法(日本語訳)
前文
われら合衆国の国民は、より完全な連邦を形成し、正義を樹立し、国内の平穏を保障し、共同の防衛に備え、一般の福祉を増進し、われらとわれらの子孫のために自由の恵沢を確保する目的をもって、ここにアメリカ合衆国のためにこの憲法を制定し、確定する。The Constitution o…