日韓関係を悪化させた3人  ―中曽根康弘元総理の功罪

慰安婦問題が再燃して竹島の不法占拠とともに日韓の超ホットイシューとなっているが、日韓の長い歴史を知れば、このようなことはよくあることだ。近くは秀吉の朝鮮出兵後の江戸幕府初期、家康始め、徳川光圀などの朝鮮通信使―最初は探賊使、次に回答兼刷還使への気の使いようは現在の比ではない。

左から中曽根康弘、宮沢喜一、河野洋平
しかし100年後の新井白石は第8回目の朝鮮通信使の接伴役になると、彼は以下の理由から通信接待の改革に乗り出す。
  • 接待費がかかりすぎる
  • 朝鮮が通信使を送つて來るのは武力でかならないので、文章のうまいものを送って恥を雪ぐ(そそぐ)狙いがある
  • 日本の使節には漢城へ行くことを認めず、朝鮮側だけが江戸まで着ている。彼らだけに敵情視察を許している
  • 朝鮮は信義に薄い国だ。秀吉が出兵したときには明に助けてもらいながら、明が清に攻められたときには援軍を一兵も送らなかった。
これに雨森芳洲が異議を唱えるのだが、本稿の主旨とははなれるので知りたい御仁はこちらを参照してくだされ。

何れにしても秀吉の朝鮮出兵後の朝鮮への自虐を乗り越えるのに100年かかっている。

話がそれたが、まず河野洋平氏だ。河野談話全文を引用しておく、

慰安婦関係調査結果発表に関する
河野内閣官房長官談話
平成5年8月4日
 いわゆる従軍慰安婦問題については、政府は、一昨年12月より、調査を進めて来たが、今般その結果がまとまったので発表することとした。
 今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。
 なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。
 いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。
 われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。
 なお、本問題については、本邦において訴訟が提起されており、また、国際的にも関心が寄せられており、政府としても、今後とも、民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい。
自民党政権時代、常に朝日新聞などは新総理に「靖国参拝はするのか」、「村山談話、河野談話は踏襲するのか?」と質問していたが、この談話までにはすこし前段がある。

まず、昭和57年8月26日に発表された「歴史教科書」に関する宮沢内閣官房長官談話というのがある。これは朝日新聞の誤報を中韓が外交ルートを通じて抗議してきたので、鈴木善幸総理の訪韓を控えていたため、宮沢官房長官がなんとか火消しを図りたいとして発表した全くのお笑いだ。
「歴史教科書」に関する宮沢内閣官房長官談話
昭和57年8月26日
一、 日本政府及び日本国民は、過去において、我が国の行為が韓国・中国を含むアジアの国々の国民に多大の苦痛と損害を与えたことを深く自覚し、このようなことを二度と繰り返してはならないとの反省と決意の上に立って平和国家としての道を歩んできた。
我が国は、韓国については、昭和四十年の日韓共同コミニュニケの中において「過去の関係は遺憾であって深く反省している」との認識を、中国については日中共同声明において「過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことの責任を痛感し、深く反省する」との認識を述べたが、これも前述の我が国の反省と決意を確認したものであり、現在においてもこの認識にはいささかの変化もない。
二、 このような日韓共同コミュニケ、日中共同声明の精神は我が国の学校教育、教科書の検定にあたっても、当然、尊重されるべきものであるが、今日、韓国、中国等より、こうした点に関する我が国教科書の記述について批判が寄せられている。我が国としては、アジアの近隣諸国との友好、親善を進める上でこれらの批判に十分に耳を傾け、政府の責任において是正する。
三、 このため、今後の教科書検定に際しては、教科用図書検定調査審議会の議を経て検定基準を改め、前記の趣旨が十分実現するよう配慮する。すでに検定の行われたものについては、今後すみやかに同様の趣旨が実現されるよう措置するが、それ迄の間の措置として文部大臣が所見を明らかにして、前記二の趣旨を教育の場において十分反映せしめるものとする。
四、 我が国としては、今後とも、近隣国民との相互理解の促進と友好協力の発展に努め、アジアひいては世界の平和と安定に寄与していく考えである。
この談話によっていわゆる近隣諸国条項の縛りが教科書にできてしまった。しかし、宮沢元総理よりもっと恥知らずな総理大臣がいる。中曽根康弘だ。彼は日韓併合についてそれまでの政府見解をかえて自虐に走った。それまでは、
韓国併合に関する日韓条約は、いろいろ誤解を受けているようだが、条約である限りに於いて、これは両者の完全な意志、平等の立場において締結されたことは、申し上げるまでもない(佐藤栄作首相も国会の答弁昭和40年11月19日)
昭和61年の自身の内閣の藤尾文相が、日韓併合条約は合法的であり、韓国にも責任があると発言した。これは佐藤内閣の以来の政府見解を踏襲した全くの正論だが、中曽根は愚かにも、韓国の抗議を受けて陳謝し、9月9日文相を罷免した。これ以後日韓併合、慰安婦、竹島問題を口にした閣僚はマスコミの攻撃を受け―朝日と毎日だが、罷免されるか更迭されることになる。

こんな人間が従6位大勲位菊花大綬章を授かっている。この宮沢、中曽根の両名が朴正熙が英断した日韓基本条約の精神を冒涜したことは歴史教科書に留めておきたいとは思うのは私だけではないだろう。

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