歴史教科書への疑問 ―若手国会議員による歴史教科書問題の総括

この本は平成9年に自民党内に発足した「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の活動報告として著された本だ。この会の代表は故中川昭一議員、事務局長は安倍晋三現首相、幹事長が衛藤晟一現首相補佐官、副代表には中山成彬議員、同じく森田健作議員、幹事長代理に高市早苗現政調会長、副幹事長に古屋圭司現国家公安委員長、事務局次長に下村博文現文部科学大臣、委員には菅義偉現官房長官、新藤義孝総務大臣など現在安倍政権の中枢で国家運営にあたっている議員が名を連ねるほか、勉強会には野田聖子議員なども参加している。


私はこの会を知ったのは当時高橋史朗先生とともに教科書問題で舌鋒をふるっていらっしゃった名越二荒之助先生を通じてだ。名越二荒之助先生は当時、中国国防大学で南京大虐殺などなかったことや韓国でも高橋史朗先生とともに従軍慰安婦は存在しなかったことなど日本の立場を両国の政治家、官僚、研究者を前に発言されていた。本書には収録されていないがこの会にも日韓関係などで講師を努められたと記憶している。

先の紹介の通り、本書は慰安婦問題などの、教科書の記述についての議論が中心だが、問題の双方の当事者が真摯に議論していることが重要だ。軍部の暗部を追求する急先鋒である吉見中央大学教授や河野談話の当事者の河野洋平議員などが講師として出席し自らの立場を吐露している。内容は数回に分けて投稿していくが、今当サイトにて進めている河野談話撤廃要求署名の河野洋平氏のこの言葉は、宮沢喜一氏とともに良くも悪くもある人達には中国、朝鮮に対する贖罪意識がリアルポリティクスを歪めているのだと改めて思う。その発言は、「強制連行があったと判断した理由は」と問われ答えた発言だ。
ただ、そこで考えなければならないことは、そういう資料がなかったということは、資料がないんだからなかったんだときめられるかどうか。―中略―ただし資料はありませんでしたが、もろもろの人たちの発言など聞いていると、やはりいろいろなことがあったのではないかと。全く非公式に、これはそう簡単なことではなかたたのではないか、とも思える節もある。―後略―
この人は55年体制以降自民党総裁になりながら首相になりそこねた最初の人だが、この人が首相になっていたらどうなっていたかを想像するだけでも恐ろしいことだ。宮沢喜一氏も愚かな政治家だがそれを超える愚かな政治家だといえる。彼は事実ではなく彼のセンチメンタリズムで多くの先祖をレイプ魔に仕立て上げ、多くの日本人子孫をその子どもたちにしてしまった。

当サイトのサイドバーにも掲載しているが新しい歴史教科書をつくる会が5月28日に臨時集会を開催して「政府は速やかに河野談話を撤廃せよ」と決議した。その決議によって「河野談話」撤廃を求める署名を募集している。河野談話、宮沢談話、村山談話も早期に国民の声を圧力に変えて安倍首相の追ひ風にしたいと考えている。

歴史教科書への疑問―若手国会議員による歴史教科書問題の総括
  1. 検定教科書の現状と問題点 ―高橋史朗・遠藤昭雄・高塩至
  2. 教科書作成の問題点と採択について ―高塩至・丁子惇・漆原利夫・長谷川潤
  3. いわゆる従軍慰安婦問題とその経緯 ―平林博・虎島和夫・武部勤・西岡力・東良信
  4. 慰安婦の記述をめぐって ―吉見義明・藤岡信勝
  5. 日韓両国にとって真のパートナーシップとは何か ―呉善花
  6. 河野官房長官談話に至る背景 ―石原信雄
  7. 歴史教科書はいかに書かれるべきか ―坂本多加雄
  8. 我国の戦後処理と慰安婦問題 ―鶴岡公ニ
  9. なぜ「官房長官談話」を発表したか ―河野洋平